黒字経営をするために ~①最低、年3回のチェックが必要~

黒字経営をするために ~①最低、年3回のチェックが必要~

1.期首から3ヶ月目~4ヶ月目 → 役員報酬の決定


役員報酬は毎月同額にしないと法人税法上、すべてを費用としては認められません。
このため、変更が認められている期首から3か月目までの取締役会により決議があり、その次の役員報酬の支払い日である4か月目までには当期の役員報酬の額を決定しなくてはなりません。

役員報酬が多すぎる。 → 会社が赤字になる。 → 銀行からの借り入れがしづらくなったり、取引先に決算書の提示を依頼された場合などに不利益になる可能性があります。

役員報酬が少なすぎる。 → 会社の利益が出すぎる。 → 納める税金が多額になる。

このため、期首から3カ月の実績をふまえたうえでの役員報酬の決定が大事になってきます。


2.決算から2か月前 → 決算対策


この時点での実績により、おおよそ、当期にどれくらいの利益が出るかが見えてくるかと思います。この時にある程度数字を固めることにより、利益が出ている場合には期中に節税対策を行うことができます。
これが、決算後になって利益が出ているとわかった場合では、すでに期末を過ぎているために対策を行うことが出来なくなってしまい、多額の税金を納めることになってしまいます。

つまり、期末になる前にある程度の予測をすることにより、法律の範囲内で可能な費用で、かつ、今後の会社のために必要な費用を使うことによって節税対策をすることができることになります。
法律の範囲内というのが大事で、法律に違反する脱税をするのではなく、法律の適用に則った節税をするというのが大事になってきます。
脱税をして、税務調査で見つかった場合には加算税や重加算税、延滞税などを課されて非常に不利になります。

3.決算確定後


1年間の締めとしての決算状況の確認、納付税額の確認、現状分析を行い、翌期にすべきことを検討します。


上記から、最低でも年3回の訪問は必要と考えます。
よく、期中は何もせずに年1回、決算のときになってあわてて数字を固める場合もありますが、この場合には期末が過ぎてから決算上の金額が確定するために、期中の費用を増やしたりすることができなくなります。そうすると利益が出てしまう場合に納めるべき税金が多くなってしまったりと、打つべき手を打つタイミングを失ってしまうことになります。
 

黒字経営をするために ~②月次チェックの必要性~

経営者は感覚として、今、自社が儲かっているかどうか、というのは肌身でわかるかと思います。しかし、時には、売り上げは伸びているものの、不採算での受注や、粗利率の低い物件ばかりが増えていて、利益が出ていない、赤字だったということもあり得ます。

このため、定期的に自社の経営状況を客観的な数字で見ることにより現状を把握することが大切になってきます。

たとえば、売上が伸びているにもかかわらず、いざ、経理上の数字を見てみたら利益が出ていなかった場合、考えられるのは例えば次のようなものです。

1.粗利率が著しく低下している。
2.毎月の固定費が増加している。
3.一時的な特別損失が発生した。

といったものです。これらは、数字を確認することにより見えてきます。
そして、利益が出ない一因をつきとめたら、今度はこれをさらに突き詰めて原因を探していきます。

例えば、1.粗利率が著しく低下している。 であれば、

①売り上げの拡大ばかりに目がいき、値引き販売にたよってしまったため、粗利率が著しく低下した。
②無理してとった案件が、そもそも赤字または利益が著しく少ない金額での受注であったため、全体の足を引っ張ってしまった。
③材料等の高騰があったが、それを売り上げに反映できない状況のため、粗利率の低下につながった。

などがあげられます。
こうして、原因を突き止めた後は、以後、このような状況にならないためにはどうすればよいか、対策を考えていきます。

こうした流れの最初にくるのが定期的な経理による客観的な数字でのチェックとなります。
このために、出来れば毎月、月次チェックをすることにより、少しでも早く異変に気付いて、その対抗策を講じることが大切になってきます。

下記の月刊「戦略経営者」で掲載された記事では月次チェック、PDCAを行ったことによる成功事例が記載されています。

月刊「戦略経営者」での担当会社の掲載記事

 
月刊「戦略経営者」の記事
 

黒字経営をするために ~③毎月の業績検討会によるPDCAの必要性~

 現在、全会社の7割は赤字企業といわれています。
 そんな厳しい経営環境の中で、何とか業績を黒字にもっていくためにも、前述した毎月の月次チェックをおこなって、早期に問題点を発見することは非常に大事になってきます。

 また、さらに一歩踏み込んで、そうした会計上の数字から出てきた問題点などを、毎月、役員や重要な役職のある従業員を集めて、会計の専門家である税理士と一緒に業績検討会を開き、問題の解決の糸口を探っていくということは非常に大事になってきます。

 業績検討会ではPDCAサイクルを回していくことにより、問題点の改善に導き、黒字経営の達成を図ります。
 PDCAとは次のことを言います。

Plan(計画)      ・・・たとえば粗利率35%以上を確保すると決めます。
Do(実行)       ・・・実際の企業活動が行われます。
Check(検証)     ・・・毎月の月次でのチェックします。
Action(検証後の対策) ・・・業績検討会での問題点の洗い出しと改善策の検討をします。

 これだけではわかりずらいので、以前行った実例で見ていきたいと思います。

(事例)
 A社様は売上は増加傾向にあり好調でしたが、今後を考えて従業員を増やしたものの固定費の増加に売上の増加が追いつかず、売上の割には思うような利益があがっておりませんでした。
そこで、業績検討会を開いた際に、今後の見通しとして、現在の固定費で必要な売上高の目標を設定し、また、営業担当者間での売上への貢献が曖昧だった部分に対してこれを明確化する道筋をX社長と一緒に考えていきました。さらに、削減できる固定費を洗い出し見直しを図ることにしました。

 もともと経営者としての手腕に優れている X社長でしたから業績検討会により問題点が明確化(Plan)されると、それを改善するために1つずつ着実に実行(Do)されていきました。
弊社ではそれを毎月の月次で実際に改善されたかフォローアップ(Check)していくうちに、最初は難しいと思われていた事柄も徐々に改善してゆき業績も上向いてまいりました。
もちろん、すぐには改善されない点については、現実的にどうすればいいかを再度話し合い、新たな道筋を探っていきました。(Action)

このPDCAサイクルを1つ1つにこなしていくことにより、業績は着実によくなっていきました。
弊社では社長が進めていくこの作業を身近な立場でお手伝いさせていただいております。

問題点を問題点のまま放置しないスキーム、それが鴻鵠の会にはあります。

関連記事

フェイスブックページ

ツイッター

ページ上部へ戻る